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理容師から介護職へ 高森さん


スタッフボイス ― Case8

自立支援のケアを食事にも

 グループホーム土橋のおうちで調理に特化した介護職として働く高森真弓さん。元は別の業界で仕事をしており、約15年間理容師として自営業を営んでいました。理容師を退職後、新たな資格取得を考えていたところ、友人からの「向いていると思うよ」という勧めでヘルパー(現初任者研修)の資格を取得し介護業界へ転身。資格取得後は約10年間、特別養護老人ホームで働きました。ハードな勤務で体調を崩し仕事を辞めてからは2年ほどのブランクがあったそうですが再び介護業界へ。ハローワークを通して5年前にもちもちの木へ入職されました。慣れた仕事であることと、やはり人と接するのが好きだったと言います。

 現在は、食事作りをメインにされている高森さんですが、前職の経験を生かし入居者さんのヘアカットなども行います。食事作りでは、入居者さんに配膳や下ごしらえなどの手伝いしてもらうことで手先や頭を動かすことを意識してもらったり、四季の旬の物をメニューに盛り込み生活の中で変化や刺激を感じてもらえるように工夫するなど、自立支援の視点からのケアもされています。

 介護業界に身を置くまでは「介護」というものを知らなかったという高森さん。理容師時代に母が脳梗塞で倒れ認知症を患った際には、高森さん自身が仕事に家事、育児に追われていたこともあって母の介護に積極的に関わることが無かったといいます。「今になって思えば…ということが多いです。在宅介護を独りでしていた父はすごく大変だったと思う。もっと話を聞いてあげたり、もっと手伝いに行ってあげていれば良かったと悔やまれます」と話します。その経験もあって入居者さんやご家族に対して「些細な事でもいい、ちょっとした愚痴でもなんでもいいんです。辛くないか、悲しいことはないか、できる限り聞いてあげたい」と思って接しているそうです。

 

高齢者の「ゆっくり」に寄り添う空間が良い

「いつも前向きで、明るい」と評判の高森さんですが、「生死」はとても身近なことでよく考えると話します。「この業界では、些細なことが(ケガや死亡などの)事故につながる。その人の人生がかかっているから少しも気は抜けないです。常に緊張感を保って仕事をしないと」と高森さん。

 高森さんは15年前に息子さんを交通事故で亡くしました。家に飾ってある彼の遺品を見ると「当時を精一杯生きていたんだ」といつも感じるといいます。現在でも息子さんの死は受け入れがたく「どうして私が生きているのか」と塞ぐことがあるそうです。それでも、利用者さんの「あなたの笑顔で元気になる」という言葉にこんな私でも人の役に立てるんだ、と頑張れたと話します。

 「仕事柄もそうですが、息子の分も私自身精一杯生きなければと思う。入居者さんも、日々の生活の中で小さなことでもご自身の満足を積み重ねて楽しんで生きて欲しいです」と話します。

 以前の職場では時間に忙殺されていたといいます。入居者さんに対してスケジュール通りに動いてもらうために忙しなく指示したり、急かしてしまうような状況で、ゆったり過ごしてもらうような環境ではなかったそうです。もちもちの木では、高齢者の「ゆっくり」とした動きに寄り添った空間がとても優しく、スタッフとしても環境に安心できていると話してくれました。

 現在は、ギターを弾く職員に刺激されて、長年念願だった「音楽」を趣味にすべく高森さんご自身もギターを購入。職員に教えてもらいながら現在練習に励んでいるとのこと。

 もちもちの木での入居者さんとの時間の流れ方が仕事も趣味もちょうど良いと笑って話してくれました。

2021年8月末現在

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